2013年5月25日土曜日

5月24日の太陽


この日は、比較的明るめのプロミネンス3つ4つ見えました。右上の画像は、光球面に露出を合わせた左の画像から、プロミネンスと光球面を分離し、別々に処理したものを再度合成しています。プロミネンスが明るいと、露出アンダー部分をここまでも持ち上げることができます。左下の画像は、最近流行りの太陽面をネガで表現した画像です。黒点が明るく表現されます。誤解を招く画像にはなりますが、太陽表面の様子がより立体的に見えるのがメリットでしょうか。この手の画像を有名にした?本家の方の画像をリンクしておきます。

CORONADO Solar Max II 60 BF10 + Kasai 2x
PGR製CCD BFLY-PGE-09S2M-CS(B/W)で撮影

右下のみ
BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影

2013年5月21日火曜日

太陽撮影システム2 (Coronado H-alpha Filter)


以前、白色光での撮影システムを紹介しましたが、今回はHα光での撮影システムです。
Hα用フィルターは、2種類を使用しています。
 ① Coronado Soloar MaxⅡ60+BF10, Pentax75SDHF
 ② Daystar ION (0.7Å), Borg 125mmSD (口径絞り110mm)
今回は、①のCoronadoのシステムについて書いてみます。
この望遠鏡、昨年の日食騒ぎの中で、ついポチっとしてしまった一品です。最初は、すぐに飽きてしまうのだろと思っていましたが、これがまたツボにはまってしまい、②のDaystarへの散財につながります。


さて、Coronadoの太陽望遠鏡は、完成品を購入することもできますが、私は市販の望遠鏡にメインフィルターと、ブロッキングフィルターを取り付けて構成した太陽望遠鏡を使用しています。
メインフィルタでは、IR/UV等の有害な波長成分のカットと、エタロンと呼ばれる極挟帯域フィルターで構成され、特定の波長域(Hαを含む複数の波長)だけを通過させます。ちなみに、太陽望遠鏡ではこのエタロンが肝のパーツで、このパーツの出来が製品のバラツキに直結しているようです。後段のブロッキングフィルターは、エタロンが通過させる複数の波長成分から、Hαだけを抽出します。この仕組みで、安全に太陽を観測することができます。
では、市販の完成鏡筒を使用しない理由はなんなんでしょうか?
Coronadoの太陽望遠鏡はHαに特化しているので、光学系の設計波長はHαそのものです。これは収差の面で非常に有利なはずなのですが、知りうる限り、ここを評価している記事は見たことがありません。(評価しにくいとは思いますが) 
個人的な意見と狭い知識ですが、下記のような理由だと思っています。

 ① フィルター部の構造
   Cornadoは、現在Meadの傘下になっています。そこで新規に開発されたのがSolarMaxⅡです。この望遠鏡、初代とは大きく異なる点があります。初代は、私のシステムと同様で先端にエタロンが配置されていました。当然口径は60mmです。これに対し、2代目はエタロンが焦点面側、つまりはブロッキングフィルターの手前に配置されています。フィルターの調整が手元側できるメリットはありますが、最大の目的は、エタロンのサイズを小さくすることにより、コストダウンを図ったためだと思われます。エタロンは本来、平行光束を要求されます。これが、集光側に配置されていることから、フィルターの中心波長が光軸から離れるに連れ、微妙に変化している可能性があります。実際、どれだけの影響があるのかは不明ですが、この点を指摘する方は多いです。

 ② 合焦部が安っぽい
    ヘリコイド式の合焦部は非常に安っぽい作りです。ブロッキングフィルターのネジもプラスチックなので、デジイチを付けて撮影する気にはまったくなりません。

上記のような理由から、フィルターを購入してオリジナルを作製する方が多いと思います。ただ、金額面ではメリットがまったく無いので、ご注意を!
 ・ CoronadoSolarMaxⅡ60mm Telescope with BF10  $1499
 ・ CoronadoSolarMaxⅡ60mm Filter with BF10        $1399   ※ $100しか違いません

次に、システムを構成する場合のポイントをまとめてみました。
 ① 口径
   Coronadoで入手可能なものは、40mm, 60mm, 90mmで、全て半値幅0.7Åです。
   フィルターの中央には、エタロンを支える?なにかがあり、中央遮蔽構造になっています。
   価格と口径のバランスで考えれば、60mmがやはりお買い得です。
        ・ 40mm with BF10  $1099
        ・ 60mm with BF10  $1399 ← お買い得
        ・ 90mm with BF15  $3099 ← 一気に高くなる


 ② ブロッキングフィルターのサイズ
   これは、BF5,BF10,BF15,BF30から選定します。数字の違いはフィルターの直径(mm)です。BF5は直径5mmの
   フィルターが内蔵されています。このフィルターは焦点面付近に配置されるので、小さいと、太陽の全球面の撮影が
   できなくなる場合があります。目安としては、使用する望遠鏡の焦点距離で計算します。全球面を撮影する場合、
   焦点距離の約1/100の大きさで投影されるので、BF5であれば、f=500mm。BF10であればf=1,000mmになります。
       実際は、この計算値の80~90%程度で使用すれば問題ないようです。
   私の場合はBF10を使用していますが、f=500mmの望遠鏡なのでかなり余裕があります。

BF10
③ 焦点距離
   上記のBFのサイズにも影響しますが、それ以外にもいくつか注意が必要です。まず焦点距離が長いと、調整が大変です。フィルターには、調整機構がありこれを操作することで、表面模様のコントラストやプロミネンスの明るさが変わります。調整時は、太陽像を見ながら行う必要がありますが、焦点距離が長いと手が届かなくなります。過去に、f=1,200mmの望遠鏡に載せたことがありますが、モニタを使用して調整したものの結構手間でした。また、太陽の全球面を一発で撮影する場合も、焦点距離が長いと大きめなCCDが搭載されている機種でないと、視野からはみ出します。まして、DMK-21AU618のようなカメラで動画撮影を行う場合は、焦点距離が400mmでも最低4回の撮影が必要です。木星や土星と同じシステムで撮影しようと考えている方は、要注意です。

さらなるシステムアップ・・・
Coronadoのシステムは、メインフィルタを2段重ねることで半値幅を0.5Å以下にすることができます。ダブルスタックと呼ばれているものがそれにあたります。全体的な輝度は下がりますが、彩層面のコントラストは向上するので、表面構造は見やすくなります。ただし、フレアを見る場合は輝度がかなり下がっているので、淡いものは見にくくなるという意見もあります。ねじ込み式なので簡単に後付けできますから、最初から用意する必要はありません。

最後まで読んでくれた方、お疲れ様でした。
偏見なく書いたつもりですが、あくまでも私見なので、ご理解を。

ではでは

Autostakkert2でのイメージ


私が画像のスタック処理で使用しているAutostakkert2について、Registax6との違いに関する質問があったので、こちらにまとめてみました。

上の画像は、5月17日のR画像を50%スタック処理した時の違いです。左が各ソフトでスタックした直後の画像。右が、Registax6でWavlet処理をした結果です。Wavlet変換する前の画質が大きく異なるので、パラメータは異なります。
一番の違いは、右側の処理後ではなく、左側のスタック直後、未処理時の画像が大きく異なります。Autostakkert2は、スタック処理時にSharpedと名付けられた先鋭化処理を行うことができます。この画像を元画像にブレンドしたものをスタックしていきます。結果がこの差です。この差は、一見大きそうに見えますが、処理後はさほど変わらない画像になります。個人的には、両者に極端な差はないと思っています。 では、なぜ私がこのソフトを利用しているかですが、理由は単純で、スタック直後の土星のリングがとてもシャープに見えるからです。特にカッシーニの隙間は、シーイングの良い日に、眼視で見たイメージに非常に近い気がします。結果、処理時の目標イメージが異なるようになりました。Registax6の頃は、スタック直後の半ボケ画像から、いかに表面模様を抽出するかが、処理目標でした。結果、リングの構造(特にカッシーニの隙間)が極端に強調された画像になっていましたが、当時は、これを不自然だとは思っていませんでした。しかし、Autostakkert2から左のようなイメージが出てきて以来、このイメージをいかに維持したまま表面模様の強調できるかが、処理の目標になりました。元がシャープなので、安易な処理をすると不自然さが目立つようになり、処理は全体的に抑え気味になります。画像処理の性能向上を期待して読んでいただいた方には申し訳ないのですが、つまりはこのような理由から使用を続けています。もちろん。白斑の名残を抽出するような場合は、異なる処理をしますが・・・
また、Registax6と同じ程度と書きましたが、ツボにはまった時は、Autostakkert2の方がちょびっと解像度が得らるような気がしています。

これ以外の長所、そして短所もあるので、まとめておきました。評価が分かれているソフトですが、一度は試してみる価値はあると思います。

 (長所) ※上記以外
   ・ パラメータが少ないので使い方が簡単。比較的処理も早い
   ・ 画像をセンタリングしてくれるので、LRGB合成時の位置合わせが微調整のみですむ。

 (短所)
   ・ シーイングが良くない時の画像は、継ぎ目が破綻する場合が多い。 ※ 特に火星はダメでした
   ・ Wavlet処理ができないので、Registax6と大差がない場合は、手間が増えるだけです。

ではでは

2013年5月18日土曜日

5月17日の土星


昨晩は、23 22時頃から30分ほどの間、シーイングが安定しました。小刻みなピントの変動はあるものの、モニタ上でも模様の境界部などがはっきり見えます。
RGB分解してるので、B画像がクリアに映ればかなりの画像になるのですが、さすがにBは暴れ気味でした。結局LRGB合成で、報告しています。近赤外画像には、うっすらとですが、エンケの間隙らしきものが見えます。あと一歩なんですがね。

5月18日のプロミネンス


今朝見えた、プロミネンスです。当初は、1748群のフレアを期待したのですが、Xクラスを頻発した頃に比べると活動がやや低調のようで、発生する気配が感じられませんでした。雲も多く、撮影枚数は多いものの、途中で見えなくなることの繰り返しでした。でも、お昼頃にはCクラスのフレアが出現しているので、もう少しはいけそうかな。
残念なのは、明日も雲が多そうな予報。せっかくの休みなのに・・・

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影


2013年5月16日木曜日

FireCapture V2.2について


BlaclFlyカメラのテスト記事で紹介した、FireCaptureというフリーのキャプチャソフトですが、その後、多少の進展があったので、報告します。
FireCaptureは天体用の動画撮影ソフトで、電動フィルターの自動切り替えなどもサポートしているなど、個人的にとても気に入っています。ところが、最新VERのV2.2から、私のPCでは起動しなくなりました。先日、私のブログを見てダウンロードした方がいらっしゃいましたが、その方の報告でも起動しないようです。

 ・ V2.1:正常に動作
 ・ V2.2:起動しない ← 現時点での正式版
 ・ V2.3beta:起動しない

V2.1は既に公開していないので、新たに使用する方は入手ができません。昨日、製作者のTorstenさんにメールを送り、この状況を伝えましたが、"That is really strange..."ということで、原因は分からないとの回答でした。
 ※ 実際は何回かのやり取りしています。きちんと対応してくれる人物なので、誤解のないように。

さて、この状況で完全に行き詰まりましたが、本日試した方法で無事?起動させることができました。方法は実に簡単で、OSを英語版に入れ替えるということだけです。 (*_*) 
根本的な解決になっていませんが、とりあえず動いたので私はこれでOKになりました。それでも、作業中にいくつか気になった点があるので、ここに記載しておきます。

 ① 日本語OSで試してみたい方(今のところ起動できないが)
   ダウンロードすると適当なフォルダで解凍します。解凍後、最初に"FireCapture.exe"を起動しますが、
   この時、右クリックして”管理者権限で起動する”から起動させてみる。
   最初の起動時にDOS画面が出て、環境設定をした後、カメラ毎のショートカットを大量に作成するので、
   使用するカメラのショートカットで以後立ちげます。 例)FireCapture_TIS (ImaginSource社のカメラを使用する場合)
   
 ② 英語OSで試してみたい方
   英語版OSを購入してインストールすれば良いのですが、一発目はやはりFireCaptureを起動できませんでした。
   原因は不明ですが、log.txtを見ると、いくつか項目が日本語になっています。キーボード選択時に、日本語タイプを
   選択したのが原因かもしれません。再度OSのインストールを行い、この時はすべて英語にしました。
     ※ TimezoneもUSAです。
   また、Windowsのアップデート以外は、なにもせず、FireCaptureをダウンロードし、管理者権限で"FireCapture.exe"を
   起動させた結果、正常に起動しました。確認の意味で、一度フォルダを削除してから再度解凍し、今度は、通常の
    Wクリックで"FireCapture.exe"を起動させてみましたが、これも正常でした。
   WindowsのDVDのお持ちの方は、インストール時の言語選択で英語を選択すると、試せるかもしれません。
   ただし、ライセンス上は問題があるかもしれないので、そのあたりは自己責任でお願いします。

なんかここまで書きながら、万人向けではないなと感じています。
日本で、普通に動いている方はいないのですかね。動いている方がいらっしゃれば、情報お願いします。
なお、この件は製作者に伝えています。対応してくれるかは不明ですが、V2.3の正式リリースでは改善されていることを期待しています。
ではでは。

2013年5月15日水曜日

太陽が元気です


前回の動画に写っているループプロミネンスを含む、1745黒点群の画像です。
この画像では本体はまだ見えていませんが、ループプロミネス直下の黒点は、1748黒点群になりました。非常に活発で、既にXクラスのフレアを4回発生させています。今後の活動が楽しみです。

CORONADO Solar Max II 60 BF10 + Kasai 2.5x
PGR製CCD BFLY-PGE-09S2M-CS(B/W)で撮影
15sec×2pics mosaic



2013年5月14日火曜日

5月14日 ループプロミネンス



東の縁から新たに出現した1748群ですが、既に3回のXクラスのフレアが発生している、非常に活動的な黒点です。
今朝は、きれいなループプロミネンスが見れたので、12分間分の画像を動画にしてみました。明るい塊が落ちていくと、最後にニョロっと小さなプロミネンスが吹き上がります。苦労した割に、意外と地味な展開でした。シーイングと追尾精度の関係で画像がユレユレです。船酔いに弱い人は、見ないように・・・

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影
2sec間隔 360枚の画像で作成 (計12min)



2013年5月12日日曜日

5月前半のプロミネンス


タイトルがてきとうで、すいません。
上は5月6日、下が5月12日(今朝)の撮影です。
特に、今朝のプロミネンスは横に大きく広がっていて、とても綺麗でした。


上:BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
  Powermate 4x, DMK51AU02(B/W)で撮影

下:BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
  Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影
  3枚の画像をモザイク合成

BlackFlyの補足


このCCDカメラについて質問がありました。コメント欄で回答するには長すぎる文章になったので、こちらに記載します。

購入先)
このCCDですが、リンク先のViewPLUSが販売代理店です。メールで見積依頼をすれば回答してくれるはずです。

ドライバ類)
購入した製品には、簡単な説明書しか添付されていません。CD等は付属していないので、Point Grey社にアクセスして、ドライバ等をダウンロードする必要があります。 ※ユーザー登録が必要

キャプチャーソフト)
DMKに付属するIC Capture相当のアプリとして、FlyCap2が用意されています。ただし、IC Captureほど高機能ではないので、動作検証以外では使用していません。私は、FireCaptueと呼ばれるフリーのソフトを利用しています。使いやすく、複数のメーカに対応している優れものです。 ※上の画像がFireCapute
ただし、FireCaptureがカラーに対応しているかは、私は使用したことがないので正直わかりません。モノクロとして取り込んで、処理時にベイヤー変換をする必要があるかもしれません。 ※ 私はモノクロしか使用していないので

FireCaptureの気になる点)
このカメラだけの問題ではありませんが、私のPC環境では複数の問題が発生しています。
 ※ あくまでも、私の場合です。他の方の情報は把握していません。

 ① ドライバの相性が、ImagingSource社とよくない?
    私の場合、なぜか上記ドライバが事前にインストールされているPCにセットアップすると、PointGrey社のカメラだけ、
    FireCaptureでの動作が不安定になります。FlyCap2では問題ないので、アプリの原因と思いますが、改善できて
    いません。仕方がないので、中古PCを買ってそちらで運用しています。

 ② 最新Verが起動しない
    FireCaptureの最新Verは2.2ですが、これがまったく起動しません。

処理)
データは、通常のaviとして処理できます。Registaxでの処理も、当然ですが問題ありません。

色々と書きましたが、こんなところでしょうか。
参考にしてみてください。

2013年5月11日土曜日

Blackfly CCD (ICX693) カメラ


 Blakfly(蠅)と呼ばれるCCDカメラが、Point Gey社から発売されました。SONY製のICX692、ICX693を搭載したCCDカメラ仕様と、e2vのCMOSセンサーを搭載した製品の計3品種があり、それぞれカラーとモノクロが選べます。その中で、惑星撮影向きなのが、ICX639を搭載したBFLY-PGE-05S2です。先月購入したのですが、連休中にテストできたので結果を記載しておきます。
 [特徴]
  ・ SVGA(800×600)仕様なので、木星の衝前後での拡大撮影に余裕ができる。
  ・ ピクセルサイズが6μmと、ICX618の5.6μmよりやや大きい。
  ・ 小型・軽量。(写真の左下のカメラ。左上はDMK21AU618)
  ・ GigaEthernet+PoE(Power over Ethernet)での接続。最大50FPSの性能ですが、テストでは安定していました。 
  ・ RGBの相対感度が、ICX618よりフラット。
  ・ 低価格(38,000円) ※ 私が買った直後に値上がりしました。以前はなんと、29,000円! 安い!
    ※ PoE電源ユニットは別売りです。 (写真右) ← これがでかくて邪魔

今回は、DMK21AU618と比較してみました。ゲインを最大にして、ヒストグラムで80%の光量になるように露光時間を変えていった結果が、表の内容です。近赤外やR付近では、30~50%アップですが、短波長側ほど感度が向上し、B付近では2倍になりました。
RGBの分光感度データを見ると、ICX693はRGがほぼ同感度で、Bのピーク感度も80%を維持しています。しかも、400nm付近でも40%の感度があります。DMKで使用されているICX618は、R~近赤外感度が突出していますが、GB側の感度は急激に低下します。さらに400nm付近では、20%まで感度が低下します。結果として、GB側では従来の倍近いレートで画像が取得できます。またカラー撮影をしている方であれば、ホワイトバランスがやり易くなるメリットもあると思います。
L画像も、従来より高感度で撮影できました。土星でも、最大感度にすれば50FPSで取り込めます。120秒で6,000フレームを取り込めるので、S/Nの向上につながります。
 注1) この評価は、あくまでもカメラでの性能差です。メーカーが異なるので、最大ゲインは同じ値ではありません。
 注2) ICX693は、モノクロ仕様のCCDデータが公開されていないので、分光特性はあくまでも推測です。
 注3) 撮影機材:32cm(F20)ドールカーカム式、笠井ショートバロー1.5x、合成焦点距離 10,000mm
      Astrodon Iシリーズ LRGBフィルター使用


先の特徴は、特にUV撮影で効果があります。下記の画像は、UVとメタンバンド(CH4)を、最大感度で同じ露出時間撮影した画像です。ピクセルサイズの違いによる明るさの変化(15%程度明るく映る)を考慮しても、やはり2倍以上の光量増加が見込めます。これは、望遠鏡の口径が1.4倍になったと同じ効果があるので、20cmクラスでも下記のDMKと同等の明るさが得られる計算になります。これに対し、メタンバンドは20%程度しか違いがありませでした。メタンバンドの画質向上という点では、効果がなさそうです。この点が残念。

                          UV/CH4 32cmF20 直焦点

同一条件(笠井1.5バーローレンズ)で撮影。 画質自体に大きな差はなく、惑星の縁などに擬似模様や、階調飛びなどは発生しませんでした。画質の先鋭度の違いは、シーイングの影響です。

BFLY-PGE-05S2Mで撮影した、近赤外及びLRGB合成画像。撮影条件は、画像に内に記載。

本体は小型・軽量なものの外部電源が必要なので、手軽さではUSBカメラの方が上です。しかし、国内で購入しても4万円以下という低価格でありながら、撮像エリア・感度面でDMKより性能が下がる項目が見当たりません。惑星用カメラとしてオススメできる一品というのが、今回の結論です。
ではでは・・・(o´Д`)=з

2013年5月6日月曜日

太陽撮影システム1 (白色光)




昨年から始めた太陽撮影ですが、知識が伴わないままグッズだけは増えていくばかりです。今回は、私が使用している機材の紹介をします。

*** 白色光 ****
白色光の撮影は、BORG125mmSDとBaader製のハーシャルプリズムの組み合わせで行っています。望遠鏡が2本見えていますが、左の望遠鏡の接眼部に見える天頂プリズムのような白い物がそうです。昔でいうサンプリズムの高級品バージョンです。反射面が無メッキのガラスなので入射光の95%が素通りし、残り約5%の光が反射されます。この光をさらにOD3.0のNDフィルターで減光することで、実用的な光量を得ています。さらに、シーイングに合わせて、540nm/半値幅10nmの緑色のナローバンドフィルター(コンティニュアムフィルター)や近赤外フィルターを使用して波長を絞り、パワーメイト4xまたは5x+モノクロCCDカメラ(DMK51AU02)で撮影します。この組み合わせは、ツボにはまると素晴らしい画像を結びます。下記の画像は、前々回に公開した画像の元データです。動画から切り出した最良画像のフレームで、スタックも画像処理もしていない生の画像です。
ハーシャルプリズムの欠点は、それ自体で光路長が120mm必要なため、バックフォーカスに余裕のある鏡筒でないとピントがでません。私のBORGも、標準鏡筒では長すぎてピントが合いませんでした。125mm用の短鏡筒も売っているのですが、価格が高いので、付属のアダプターを外して薄型のネジ変換ブラケットを作成し、それにヘリコイドMを取り付けています。また、焦点側で減光しているわけですから、反射光学系での使用も不可です。価格が高いのも難点ですが・・・
ハーシャルプリズム以外の減光方法を私は試したことがないので、あんまり大きなことは言えませんが、黒点の拡大撮影を検討している方にはおすすめの一品です。 




5月6日の太陽


今日も、一瞬シーイングが良好な時がありました。撮影した黒点は、1734群です。大きさはそこそこですが、活動は低調です。現在の活動域は1739群で、Mクラスを含め、日に数度のフレアが発生しています。今朝の9:00過ぎにも、撮影中に明るい輝点を見つけました。後ほど調べてみると、この時刻に1739群でC2クラスのフレアが発生していました。この群は太陽面に顔を出したばっかりなので、今後の活動が楽しみです。

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, DMK51AU02(B/W)で撮影
 ※ 2013/05/08 画像を入れ替えました

2013年5月5日日曜日

GW中に撮影した太陽面



GWは、天気も穏やかでシーイングもまずまずでした。
上の画像は、5月4日に撮影した1734黒点群です。久々の大型黒点ですが、活動は低調のようです。
下の画像は、5月5日に撮影したプロミネンスです。前日の4日は、目立ったプロミネンスがまったく見えず、寂しいイメージでした。目で見ると、やや淡い対象でしたが、シーイングが良好な時間に撮影できた画像は、強めの画像処理にも耐えられ、細部がよく写りました。

BORG 125mmSD、Baader ハーシャルプリズム + ソーラーコンティニュアムフィルター
Powermate 4x, Chameleon(B/W)で撮影

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, DMK51AU02(B/W)で撮影